坂本龍一、大阪で初の大規模企画展 “sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一” において、テクニカルディレクションおよびプロダクションマネジメントを担当しました。
坂本龍一が探し求めた、記憶、時間、音。
1970年、坂本龍一は大阪で何を見たのか。
坂本龍一と大阪、知られざる接点がここに。1970年、大阪万博と坂本龍一
1970年、18歳の坂本龍一は、「人類の進歩と調和」をテーマに掲げた大阪万博で、多彩な音楽やアートに触れました。各パビリオンで流れる音楽の多くは、無調による前衛的な電子音楽でした。坂本が敬愛する武満徹の《クロッシング》《四季》や、小学生の頃から影響を受けた高橋悠治の《慧眼》、湯浅譲二の《スペース・プロジェクションのための音楽》、西ドイツ館ではカールハインツ・シュトックハウゼンが球形ホールで《Spiral》の連日公演を行っていました。また、「ペプシ館」では中谷芙二子による霧の彫刻、クセナキスが「鉄鋼館」のために《Hibiki Hana Ma(響き・花・間)》を制作し、同じ会場にはフランソワ・バシェの音響彫刻が展示されていました。 これらの体験は、後の坂本の創作活動に深い影響を与えることになります。当時、注目を集め始めていたシンセサイザー電子音楽の世界も、坂本にとって大きな刺激となりました。坂本は2016年以降、1970年の大阪万博で展示されたバシェの音響彫刻を演奏・録音する機会を得て、その音を自身の作品に取り入れています。それらの試みは2017年のアルバム《async》に結実し、最晩年に制作した劇場作品《TIME》にも活かされました。
2025年、大阪万博と「sakamotocommon」
2025年、再び大阪で万博が開催されるこの年に、若き日の坂本が受けた刺激を、坂本が遺したものを共有化する試みとして始動した「sakamotocommon」を通じて次世代のクリエイターたちへ届けられないだろうか。その思いを込め、大阪・梅田に新しく誕生した空間「VS.(ヴイエス)」から発信します。本プロジェクトでは、1970年の大阪万博のために制作されたバシェの音響彫刻を展示するほか、東京藝術大学のバシェ修復プロジェクトチームが坂本のために制作した新たな音響彫刻も紹介します。また、坂本の演奏データをもとに、彼が愛用したグランドピアノで再生するプログラムも展開します。
展示内容
- 坂本龍一 + 高谷史郎《LIFEーfluid, invisible, inaudible…》
- Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2025 – D
- バシェの音響彫刻
- 坂本龍一 on async
- 坂本龍一 + Zakkubalan《async–volume》
- 坂本龍一 + アピチャッポン・ウィーラセタクン《async–first light》
- アピチャッポン・ウィーラセタクン《Durmiente》
- 坂本龍一『Ryuichi Sakamoto: Playing the Baschet』,『12』 360 Reality Audio
- 坂本龍一アーカイブ: 1970 -
- Sakamoto Library – Extension | 坂本図書 分室
sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一
会期:2025.8.30(Sat) – 2025.9.27(Sat)
会場:VS.(グラングリーン大阪内)
主催:株式会社キャブ、VS.共同事業体
協賛:株式会社デジタルガレージ、株式会社カカクコム、株式会社ニューバランス ジャパン、株式会社メディコム・トイ、エイベックス・エンタテインメント株式会社
協力:大阪府、バシェ協会、京都市立芸術大学、GEIDAI FACTORY LAB、一般社団法人ナレッジキャピタル、ヤマハ株式会社、ソニー株式会社、株式会社ジーベックス、山口情報芸術センター[YCAM]
後援:FM COCOLO
